醸し人九平次 雄町

十年ほど前か、居酒屋で飲むことを覚え始めたころ、
帰りが遅くて、いつも行ってた家の近くのお店に間に合わないとき、
もう一軒の店を見つけた。
おいしかったので、その後も遅い時間のときは、なんどか使わせていただいた。
そこでは、山田錦、件の山田、雄町と書いてあるお酒のボードがあって、
それを僕はお酒の名前だと思ってた。(注:お米の名前です。)
お店の大将が、東京では手に入りにくいお酒なんですよ、って教えてくれたけど、
その頃はそのありがたみもよくわからず。
 
それからしばらく、いろんな店で、日本酒を教えてもらった。
でも、その店で教えていただいた、
「醸し人 九平次
が、とてもおいしい、しかも自分にあったお酒だってことが少しずつわかってきた。
いろいろ飲んだけど、ほかに同じくらい好きなのは、「飛露喜」だけ。
しかも「九平次」は地元、愛知県のお酒。自慢です。
別の土地で入った居酒屋で、九平次があるとうれしくなってしまう。
 
その後もなんどかその店で飲んでいるうちに、
先の3種類のお米のうち、僕は雄町が好きってこともわかってきた。
値段はほかの2種よりちょっとだけ安い。でも、その酸味が僕は好き。
 
その、九平次を教えて下さったお店が最近、移転。
いままでの立地は人通りが少なめのところで、
客足の数に波がありすぎるってことで、駅前の繁華街へ。
味は絶対のいい店なので、お店にはいい選択と思った。
けど、、、お店には家から遠くなってしまった。
「狭くなるから日本酒も置けなくなるんです」って聞いてた。
 
昨日、移転した店に行ってみた。
オープン間もないってこともあるかもしれないけど、お客さんいっぱい。
いやいや、絶対、この後も続くよ、あの味なら。
さて、席に座ると、大将が、
「なくすと怒られるような気がして」
と、笑いながら言って、九平次、しかも雄町だけあることを教えてくれた。
メニューに印刷してあるから、当分定常メニューのつもりなのだと思う。
ほんとうにうれしかった。置く場所、少ないかもしれないのに。
もちろん、飲み物は雄町を三合で、食べ物を3品頂いた。
 
少し遠くなってしまったので、どれだけまめに行けるかは自信ないけど、
でも、行きたいねぇ。毎週でも。